先生なんて言わせない

安藤先生に頭をなでられ、あたしは目を細めた。



なんだか懐かしいな。


昔もよく勉強教えてもらって、頭をなでなでしてもらったんだ。



「と、高村さん。まだ帰らなくていいの?」


「え?」



あわててスカートの中の携帯を取り出して開いてみると、18:30と表示されていた。



「ヤバッ…! すみません、あたし帰ります」


ガタンッと大きな音を立てながら、立ち上がった。



今は日が暮れるのが早いから、暗くて当たり前というか、

まさかもうこんな時間とは思わなかった。


あわてるあたしの目の前で、安藤先生がポケットから車のキーを通りだした。



「遅いから、送っていくよ」


「いいんですか? ありがとうございます」



暗い中ひとりで帰るのは怖い。


お言葉に甘えちゃおうかな。

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