先生なんて言わせない
「俺も、もう帰るとこだから」
そう言って、安藤先生も立ち上がり、あたし達は廊下へと出た。
「あれ? 高村、まだ残ってるのか」
安藤先生が職員室に寄るからと、その間廊下で待っていると誰かに声をかけられた。
顔を上げると、目の前に佐野先生が立っていた。
その姿を見たとたんに、あたしの心はうるさく騒ぎ出した。
お…落ちつけ、あたし。
「もう遅いし、危ないだろう。送ろうか?」
「あ」
「今日は俺が送るので大丈夫ですよ」
何か返事をしなくてはと、とりあえず声を出しかけたところで、
戻ってきた安藤先生の声にさえぎられた。
安藤先生はそれだけ言うと、先に歩き出したので、
あたしもペコリと佐野先生に頭を下げてから、安藤先生の後を追った。