先生なんて言わせない
「…9、10、11!」
あたしは11枚取っていた。
半分の50首を6人で取り合いしたのだから、11枚は結構頑張った方だと思う。
チラッと横目で樋渡さんを見ると、彼女はすでに数え終わっているようだった。
あたしより先に数え終わってるってことは、少しは期待できるかもしれない。
あたしははやる心を押さえながらも、樋渡さんに向き直り、口を開いた。
「樋渡さんは…?」
すると、彼女は満面の笑みを浮かべて、「残念」と言った。
あたしはその樋渡さんの表情と言葉に意味をはかりかねて、眉間にしわを寄せた。
「私は――12枚よ」
「――ッ!」
ショックで声が出ない。
届かなかった。
たった一枚。
たった一枚だけど、あたしの想いは樋渡さんに負けたんだ――。