先生なんて言わせない
「クラス優勝とグループ優勝?」
そういえば、結局、百人一首大会の方の勝敗がどうなったのか。
あたしの頭の中はそれどころじゃなかった。
樋渡さんとの賭けの勝敗だけがあたしの思考を占領していた。
ぐるぐる考え込んでいるあたしを見て、安藤先生はため息をついてから、表情を変えた。
とても真剣な瞳にあたしはドキッとした。
たぶん、告白の続きが始まる。
「まぁ、いい。それより本題だ」
安藤先生はそう言うと、何かをズボンのポケットから取り出した。
小さなケースから取り出され、ゴールドに輝くそれはリングだった。
真ん中には、透明に輝く石が着いている。
ガラスではないと本能的に悟ったときには、それをあたしの左手薬指にあてがっていた。
「オレと結婚を前提に付き合ってほしい。これがオレの教師としてのケジメだ」