先生なんて言わせない

「えっとね~、慶太はナッツが入ったのが好きなの」


あゆみちゃんは照れながら言った。


顔を赤くして可愛くて、微笑ましいなぁ。



「じゃあ、ナッツのチョコは決定ね! 告白するんだから、慶太くんの好きなチョコにしなきゃ!」


「告白できるかな? 何かまたいつものように義理チョコって言っちゃいそうだよ」



ずっと慶太くんに片思いしてたあゆみちゃんは、

毎年のようにチョコを渡して告白しようとしてるけど、結局恥ずかしくてできないんだって。


告白ってかなりの勇気がいるよね。



あたしも昔、安藤先生に告白した時は、一生分の勇気を使い果たしたかと思った。



「んー、じゃあ、チョコにメッセージカード添えておけば? 好きって書いて。

そうすれば、たとえ義理って言っちゃっても、カード見たら本命チョコってわかるだろうし」


あたしの言葉を聞いて、あゆみちゃんの顔が輝いた。



「そっか、そうだね! そうする!」


「うん。チョコはどうする? ナッツ使ったのもたくさんあるけど。それとも、手作りにする?」

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