先生なんて言わせない
「え…と」
言葉につまってしまった。
先生に本気で恋してるなんて、軽々しく言ってもいいのかな?
だって、キスまでしてるんだもん。
もしもそのことがばれて、佐野先生に迷惑かけてしまったら?
「あ、ごめん! 言いたくないなら言わなくていいから!」
考え込んでいると、あゆみちゃんがそう言ってくれて、あたしはホッとした。
「ごめんね?」
「ううん、気にしないで。でも、余計なお世話かもしれないけど、チョコは買っちゃいなよ!
後でチョコ買っておけばって後悔するかもしれないでしょ?
だから、当日渡せるかはわからないけど、買うだけ買ったら?
渡せない理由があるんなら、誰からのチョコかわからないようにして渡すって手もあるんだし」
「そう…だよね」
あゆみちゃんの言葉に勇気づけられた。
買ってみようか。
ぐるりと店内を見渡し、チョコを選び始めた。