先生なんて言わせない

あたしの顔の両横、ドアに手を置いていて、異様に近い。



あたしは思わず先生の顔をマジマジと見た。


やっぱカッコイイなぁ。



切れ長の瞳に、高くとおった鼻、薄い唇。


それに、体育教師をしてるだけあって、体も焼けて引きしまっていそう。



もちろん直接見たわけじゃないけど、服の上からでも丸みではなくてたくましい印象を受けるの。



「俺って、そんなに見とれるほどカッコイイ?」


「なっ…見とれてなんか…!!」



悔しくて、違うって口では言っても、見とれていたのは本当のこと。


言い当てられて恥ずかしくなった。



「真っ赤になっちゃって可愛いね」



…何だかバカにされた気分。


ニヤリと笑う先生を見ていると、怒りでいっぱいになる。


あたし、やっぱり佐野先生なんて嫌い!!

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