先生なんて言わせない
祐輔はあたしの頭をなでると、横に並んで歩き出した。
4月の痴漢騒動から始まった祐輔との登校。
今思えば、これがすべてだった。
これがなければ、ここまで祐輔に近づくことも、好きになることもなかったかもしれない。
あたし達は今日も一緒に登校する。
いつもと同じように。
でも、確実に新しい毎日が始まる。
あたしは胸もとに輝くリングをギュッと握りしめた。
一年が終わりを告げる今日――。