先生なんて言わせない
それを聞いた瞬間、ささやかれた左耳を押さえながら立ち上がった。
「続きなんてないですから!」
捨て台詞だけ残して、教官室を飛び出した。
「高村、今帰り?」
そのままの勢いで門をくぐろうとした時、声をかけられた。
振り返ると、サッカーのユニフォーム姿の鷹井くんだった。
「先生の手伝い、結構遅くまでかかったんだね」
「うん。鷹井くんは部活中?」
「俺も今終わったトコ。よかったら途中まで一緒に帰ろうか」
彼のさわやかな笑顔を見ると、迷わず大きくうなずいた。
それから、同じ電車通学ということで、制服に着替えてきた鷹井くんと駅に向かった。
電車も同じで、一緒に乗り込んだ。
あたしの降りる駅が先に近づいてきた頃、ふいに鷹井くんが口を開いた。