先生なんて言わせない

「わかった! 絶対行くから!!」


「ちょっ…あゆみちゃ――」



鷹井くんのことを気にしすぎて、慶太くんの話をろくに聞いてなかった。


そのせいで、慶太くんがそんなこと言い出してるのに気づくのが遅れて…。


気づいた時には、あゆみちゃんがそんな返事をした後だった。




実はね、慶太くんと鷹井くんは同じ部屋なの。


鷹井くんに会いに行くようなことはしたくなくて、

行かないって言おうとしたけど、できなかった。


後ろからこっそりと誰かの手で口をさえぎられたのだ。


「夜、待ってるから」


耳もとでささやかれて、ゾクッとした。



誰なのかわかりきってはいるけど、チラッと横目で確認してみたら、

やっぱり鷹井くんの整った顔がすぐ側にあった。



会いにいったら、何をされるのか。


考えただけで、ドキドキが止まらない。


行くのがこわい。



お願いだから、待たないで!!!






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