先生なんて言わせない

「ええー!?」



いつになく強気なあゆみちゃんに負けてしまったあたし。



「…ねぇ、何でそんなに行きたいの? もしかして慶太くんのことが好きとか?」


抵抗するのをあきらめて、あゆみちゃんの後ろをとぼとぼ歩きながらたずねた。



あゆみちゃんがここまで必死になる理由なんてそれしか思い浮かばないよね。


女の子が頑張るのは、好きな男の子のため。


それが恋する女の子だよね。


あたしもそんな時期があったから、わかるよ。



「なっ…何言ってるの!? そんなわけないじゃん!!」


そう言いながら勢いよく振り返ったあゆみちゃんのその顔は、

とても真っ赤で湯気がでそうなくらいだ。



「嘘が下手だねェ、あゆみちゃん」


あたしは思わずニヤリと笑った。



「もう! お願いだから誰にも言わないでね!!」


必死なあゆみちゃんが可愛くて、意地悪したくなる。

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