先生なんて言わせない
答える慶太くんは言いにくそうだった。
「仲間くんって彼女いたの?」
三人の誰からも彼女の話を聞いたことがなかったから、三人とも彼女いないんだと思っていた。
「英介は彼女いないよ。だけど、アイツ女遊び激しいんだよね」
鷹井くんが答えて、ドキッとした。
「あ、なんか意外だね! 偏見かもだけど、メガネの人ってもっとマジメくんかと思ってた」
鷹井くんと話すことに緊張して、無理に明るい声を出した。
それからしばらくして、あたしは鷹井くんとふたりで旅館の廊下を歩いていた。
「何で!? どうしてこんな展開になってるの!? 何で鷹井くんとふたりなわけ!?」
思わずそんなコトを心の中で叫んでしまう。
「何でって…、旅館の自販機でジュース買うって言って出てきたんだろ」
…あ。
声にだしちゃってた!?