先生なんて言わせない

「何? 高村さん」


先生は瞳をあけ、にこやかに笑った。



や…やられた!!


先生、絶対に起きてたんだ!



よく考えたら、寝てるのに抜け出せないほどきつく抱きしめるとか、変だよね。


寝ていたら自然と力がゆるむというか。



「何で起きてたのに、寝たふりなんてしてたんですか!?」


「だって、先生としか言ってくれないんだもん。前に祐輔って呼べって言っただろ?」


『だもん』って、いくつですか、あなたは。



「意味わかんないんですけど、何で名前で呼んでほしがるんですか?」


「好きな子には名前で呼んでほしいだろ」



先生は眠そうにまぶたを下ろしながら答えた。


「はっ…!?」


今、さらりとすごいこと言わなかった!?



「す…すす、好き…!? あたしを!? 何で!?」

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