先生なんて言わせない
「俺さぁ、高村が襲われたなんて皆に知られたら嫌だろうと思って、
他の先生や生徒には言わずにここに連れてきてやったんだよね」
え…?
皆に内緒にしてくれたってこと?
「同室のヤツには熱出したから、養護教諭の部屋で寝てるって嘘ついてやったし」
たしかに、そんなコトを皆に知られたくない。
「優しいだろ? 俺って」
もういい加減見慣れてきた、先生の笑顔。
な…何か、嫌な予感がするんだけど。
「だからお礼ちょうだい。お礼」
「お礼って…何を?」
あたしは恐る恐るたずねてみた。
「んー、そうだな。キスでいいよ」
はい!?
「な…何で、キス!?」
自分の顔は見えないけど、今、絶対に顔が赤いよ。