先生なんて言わせない
あたしは「好き」という言葉にビックリして、言葉をのんだ。
「…それでも!」
あたしは触れようとしてきた安藤先生の手をふり払った。
ガチャンとカップの倒れる音が響く。
「安藤先生は先生と生徒である限り、あたしと付き合う気なんてないんでしょ」
テーブルをココアが濡らす。
「あたしはそんなの待ってられるほど大人じゃない」
安藤先生の悲しそうな顔がまた瞳に焼き付く前にまくし立てた。
「あたしにとって、安藤先生はもう過去なの。必死に頑張って過去にしたの。
だから、応えられないなら、あたしの心に入って来ないで!!」
そうして、一度は壊された心に再びしっかりとカギをかけた。
そのまま部屋を飛び出すと、いつの間にか降り出した土砂降りの雨に気づいた。
教官室に行かなくては。
ただそれだけを思い、あたしは廊下を走りだした。