先生なんて言わせない
第5話 先生とテストとキミと
├ ボーダーラインは70点
長かった梅雨が明け、期末テストの季節になった。
あたしは自分の席で、さっきの授業の数学の教科書を握りしめていた。
「ヤ…ヤバい…」
あたしってバカだから、何もわからないかも…!!
自分の顔が青ざめているって、鏡を見なくてもわかる。
「おーい、席つけ」
そうこう考えてるうちに、チャイムが鳴って、次の授業の先生――佐野先生が教室に入ってきた。
次は体育なんだけど、期末テスト前ということで、教室で保健の授業が行われる。
保健体育の授業は男女別々で隣のクラスと合同で行われるから、
男子の席には隣のクラスの女子が着席していた。
いきなりあたしの上に影がかかって、顔を上げた。
目の前には佐野先生が腕を組み、にっこり笑って立っていた。
「高村~? 今は保健の授業なんだけどなぁ?」