先生なんて言わせない
「えっ!? あっ、すみません!」
あわてて数学の教科書を机にしまって、その中の教科書の山から保健の教科書を取り出した。
机の中には今日授業のない教科の教科書も多く混じっていて、佐野先生は呆れた顔をした。
「おまえなぁ。置き勉は禁止だろう。だいたいテスト前くらい持って帰って勉強しろよ」
それを聞いた周りの生徒から、クスクスと笑い声が漏れ、恥ずかしさでいっぱいになった。
「それだけ教科書を置いて帰るからには、きっと成績は素晴らしくいいんだろうなぁ?」
佐野先生がニヤリと笑った。
「もっ、もちろんです!」
成績は悪いのに、つい見栄をはってしまい、すぐ後悔する。
「じゃあ、70点以上とるとか簡単だな。
ひとつでも70点以下があれば、俺の言うことひとつ聞けよ」
「はぁ!?」
佐野先生の言葉を聞いて、イスが倒れそうな勢いで立ち上がった。
無理!
無理に決まってるよ!!