先生なんて言わせない
├ 勉強と混乱
教室まで戻ってみると、鷹井くんが窓の外を眺めて立っていた。
「鷹井くん、何してるの。部活は?」
彼は顔をこちらに向けて、さわやかな笑顔を浮かべた。
「今日からテスト一週間前だから部活休みなんだ。
で、高村のカバンが机の横にあったから待ってたんだ」
「あたしを?」
首をかしげながら、鷹井くんの側に行った。
「あゆみちゃんから佐野先生との賭けの話聞いてさ。
よかったら俺が勉強教えてあげようかと思って」
「本当に!?」
自然と、口もとがゆるんだ。
鷹井くんは中間テストで学年8位を取るくらい、頭いいんだ。
彼に教えてもらえば希望が見えてくる。
「ありがとう、よろしくね!!」
こうして、あたしと鷹井くんの勉強会が始まった。