先生なんて言わせない
「…元カレなの」
言ったとたん、腕を引っ張られたかと思うと、唇に温かい感触がした。
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
しばらくして、キスされてると気づいた時には、鷹井くんを押して、走りだしていた。
無我夢中で走って、無意識のうちに体育教官室の前に来ていた。
「…ハァ、ハァ…」
何であたしはこんなとこにいるの?
乱れた息を整えながら、自分の頭も落ち着かせた。
佐野先生に会ってどうするというの。
自分で自分の行動がわからない。
佐野先生に会っても、何を言えばいいかわからない。
来た道を戻ろうと振り返ってドキッとした。
あたしの後ろには、鷹井くんが息を乱して立っていたからだ。
「鷹井くん…?」