先生なんて言わせない
彼は腰を曲げ、手を両ひざの上に置いて息を整えている。
ずっと、あたしの後を追ってきたの?
その足音にも、乱れた息づかいにも気づかないほど、あたしは混乱していたようだった。
鷹井くんはいきなり身を起こすと、まっすぐあたしに向かって歩いてきた。
真剣な表情を浮かべながら。
一歩一歩近づく度、あたしは半歩後ずさる。
――何だか怖い。
壁に背中が当たって、逃げ場をなくしてしまった。
その間も距離は縮まっていき、そして――。
あたしは彼にとらえられた。