結婚しようよ!
「…愛良、お前も嫌か?結婚…」



「お父さん?」



寂しそうな表情で私に聞いてきたお父さんに、強く言い返す事を躊躇ってしまう――――。



言い返せない私に、父はまた言い続けた。



「夢…なんだ、父さんの。娘三人が、私の元気なうちに嫁に行ってもらうことが……。
お前達は、私の自慢だ。
母さんとの大切な宝だ。

その大切な娘達だからこそ、私達が決めた人と……と思ったが、やっぱり駄目だよな……。父さんが甘かった、すまん……」





背中を丸め、顔を上げない父から微かに鼻を啜る音が聞こえた。



お父さんの話しを聞いていたタッちゃんも、眼鏡を外し目頭なんて押さえてる。



そんな父達に、向こうの奥さんも私のお母さんも、悲しい表情で黙ったまま何も言わない。



私達姉妹と、向かいに座ってる三兄弟は、言葉が見つからずただただその光景を見るだけだった。



今、私も、愛姉も、美愛姉も同じ気持ちだと思う。


“こんなお父さん、初めて見た…”って――――。











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