結婚しようよ!
「見合いの続きするぞ。」



「はい?」



ここまで理解不能なことを言われると呆れてくる。

これ以上付き合ってられないと思い、一人席を立った。



コーヒー代の伝票を取ろうと手を延ばしたら、ヒカルに腕を捕まれてしまった。



「何をする気だよ?」



「帰ります。代金は私が払いますので…」



捕まれた腕を振りほどこうとしたら、より力強く捕まれてしまった。



「離して下さい。帰ります。」



「お前が座るまで離すつもりはない。」



「はぁ?どこまで自分勝手なのよ!またお見合いしたら良いじゃない!」



突然捕まれた手首が緩み出したかと思ったら、今度は静かにヒカルが口を開いた。



「頼む…座ってくれないか?」



あっ……、この顔…
昨日から私を戸惑わせてしまう、整った顔…。


やっぱり私、彼のこと気になるよ……。



「わかったよ、座るよ。」


渋々座った私に、ヒカルが小さな声で『ありがとう』って言ったような気がした。











< 44 / 48 >

この作品をシェア

pagetop