モノクローム
「お前の事が好きだ」
出来るなら、そんな臭いセリフを大声で叫びたかった。
なのに、現実はその想像さえもぶち壊すくらい、若い刑事が怒鳴り散らし、苦虫を噛んだ顔で俺を睨んでいる。
「だから、何回も言ってんでしょ。
俺は遊びで見ず知らずの女を監禁しました。そんで東京で…」
そう言いかけた時、背中越しにあるドアが開き、五十代半ばのしょぼくれた男が入って来て言った。
「被害者の女性は「何もされてない」と言っているが、どうなんだろうね…」
男はいかにも公務員らしい眼鏡をかけ、若い刑事を席から追いやると腰を下ろして続けた。
「えぇ…白川 春、二十歳…」
「シュン。だよ」
「そうか…私は橘だ。宜しく」
橘と名乗った男はにっこりと笑いながら、目の前に右手を差し出す。
その手から目を逸らすと右手を頭に持って行き、わざとらしく頭を掻いて苦笑いをする。
「シュン君…でいいだろうか…
済まないが、最初から詳しく聞かせて貰えるかね」
橘さんは自分の孫でも見るかのような眼差しを向け、デスクの上で手を組み、しっかりと口を結ぶ。
その後ろでは、相変わらず若い刑事が俺を睨みつけながら立っていた。
出来るなら、そんな臭いセリフを大声で叫びたかった。
なのに、現実はその想像さえもぶち壊すくらい、若い刑事が怒鳴り散らし、苦虫を噛んだ顔で俺を睨んでいる。
「だから、何回も言ってんでしょ。
俺は遊びで見ず知らずの女を監禁しました。そんで東京で…」
そう言いかけた時、背中越しにあるドアが開き、五十代半ばのしょぼくれた男が入って来て言った。
「被害者の女性は「何もされてない」と言っているが、どうなんだろうね…」
男はいかにも公務員らしい眼鏡をかけ、若い刑事を席から追いやると腰を下ろして続けた。
「えぇ…白川 春、二十歳…」
「シュン。だよ」
「そうか…私は橘だ。宜しく」
橘と名乗った男はにっこりと笑いながら、目の前に右手を差し出す。
その手から目を逸らすと右手を頭に持って行き、わざとらしく頭を掻いて苦笑いをする。
「シュン君…でいいだろうか…
済まないが、最初から詳しく聞かせて貰えるかね」
橘さんは自分の孫でも見るかのような眼差しを向け、デスクの上で手を組み、しっかりと口を結ぶ。
その後ろでは、相変わらず若い刑事が俺を睨みつけながら立っていた。