モノクローム


俺は軽く舌打ちをし、椅子に体を深く沈め、橘さんの頭の先にある窓に視線を投げた。

思わず顔を思い出しそうになって視線を落とすと、橘さんが重い息を吐いて口を開く。



「君の部屋から手錠、ナイフ…これは玩具だったが、証拠が出て来ている。明らかにこれは計画的な犯行だ」



橘さんは調書に目を通しながら、流れ作業のようにそれを淡々と口にしていた。



「君は一方的に被害者に感情を持ち、監禁を計画し、犯行に及んだ…そうじゃないのかい?シュン君」


「どうなんだ?答えろ」



俺は詰め寄る二人に鼻で笑ってあしらい、言い返す。



「俺は遊びで見ず知らずの女を監禁し、東京に行って逃げようと思ったけど、飽きたので辞めました」



すると途端に若い刑事が顔色を変え、飛び掛かるくらいの勢いで身を乗り出し、睨みつけた。

橘さんはそれを気にも止めず、ポケットからタバコを取り出し、火を点けて煙りを漂わせながら渋い顔して言った。



「さっきも言ったが、被害者の女性は「何もされてない」と言ってる。
君が遊びだと言っても、被害者の女性はそう思ってないんじゃないかね…」
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