モノクローム

どうやら、二人の刑事はどうしても俺を[ストーカー]とか言う犯人に仕立て挙げたいらしい。

自分には監禁だろうが、ストーカーだろうが罪に問われるのは変わらない。
だから、そんなのはどうでも良かった。
ただ、秋にまで迷惑はかけたくなかった。



「橘さん」


「なんだね?」


「確かに計画的かもしれないけど、別に誰でも良かったし…
だから、被害者には悪いと思ってます。こんな遊びに付き合わせて」



俺が言い終えると若い刑事は呆れたように溜め息を吐き、橘さんは鼻から長い煙りを吐き出しながら口をヘの字に曲げた。

暫くの沈黙が続いた後、橘さんが「遊び…ね」と呟くように言うから、俺は「はい」とだけ答えて窓に視線を上げた。
それでも橘さんは納得しないらしく、独り言のように話し始める。



「バーカ。全部嘘に決まってんだろ。何信じちゃってんの…
あのセリフは被害者と面識がないと言えないと思うし…
君は被害者の前では、良い人を演じたストーカーだった、と私は思ってるんだがね…」



その後に続けて「そして監禁に及んだ」と、若い刑事が言った。

俺は「いいえ」と答え、何度も繰り返した言葉を付け加えた。
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