金髪王子〜イケメンハーフは同級生〜

私は綾音の物思いを邪魔しないように話しかけずに歩いた。


なんとなくショーウィンドウを眺めながら駅に向かっていた。


そのとき。


カフェから小走りに出てきた女の人とぶつかってしまった。


「あっ!」


衝撃で私のバッグについていたマスコットが取れて落ちた。


去年、北フィルの1年女子でおそろいで作った楽器をモチーフにしたマスコットだ。


「ごめんなさいね、急いでいたものだから」


そう言って拾ってくれたその人からマスコットを受け取ると、カフェの方から声が聞こえた。


「真理(マリ)、待ってくれ!」


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