心泥棒!!


「頭痛っ~」

朝、家のすぐそこの道路を走る
子供の声で目が覚めた。


昨日のことが嘘みたいに
きれいな青空。

「はあああ、」


こんなにも、憂鬱な朝は初めてだ。

「心!!ごめん、買い物行ってきてくれる?
お父さんの知り合いが来るんですって」

早めに言ってほしいわよ、とか
愚痴りながら
お母さんは、階段を降りて行った。


気分転換に外でも行くか。


重い腰をあげる。


「お母さん、何買ってきたらいい?」

「適当に和菓子買ってきて。」


適当に和菓子・・・。


行ってきます、と小さな声で言う。
リビングからお母さんが顔を出した。

「気を付けてね。」


お母さんは、私がどんだけ小さい声で言っても
なんて言ってるか分かるらしい。

さすが母。


外は、ぽかぽかして
頭がぼ~っとする。


「心。」


急に、名前を呼ばれて後ろを向く。

幼馴染の"満"
あだ名は、みっくんだっけ。

「どうしたの、満。」

話しかけてくるなんて珍しい。

「いや、昨日なんか男と帰ってきてたから。」

「見てた?」

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