6年目の愛してる
「あ、ちょっと待って!」
なんかよく分からないけど、持っていた雑誌を放り投げてその子のことを追いかけてる自分がいた。
「?!」
今井先輩はびっくりしてたけど。まあ、それはどうでもいいことだ。
なんか無性に気になったんだ。
「足、速い・・・はあっはあっ」
追っかけてついた先は校舎から離れたところにあるテニスコートだった。
もしかしたら一人になって泣くのかな?とか思ってたのに
「おりゃっ!とう!まだまだー!」
勢いよくサーブ練習を始めた。
んんん?
泣かない、のか・・?
不思議だ。
「だ、れ?」
満足いくまで打ち終えたのか、振り向いた女の子。
頬に、一筋の痕。
やっぱり、泣いたんじゃん。強がりだな。
テニスコートに足を踏みいれて、近づいた。
涙の痕を手で拭った。
「二年生だよね?名前は?」
「春風ゆりあ・・」
驚いたのかなんなのか、応えてくれた。
反応可愛いなぁ、なんて思ったりして。
決めたよ、俺。
「ゆりあ先輩、俺が可愛くしてあげる」
「へっ?!」