6年目の愛してる
コウくん、誰かと間違えてるのかな・・・。
けれど、コウくんの口からもれる言葉に、私でいいのだと確信した。
「紗絵、紗絵ッ―・・。」
悲痛に聞こえるコウくんの声。
いつもの落ち着いた声なんかじゃない。
声もかすれて、
必死に私の存在を確かめるようにキツく抱き締める。
「紗絵?」
コウくんに顔を覗きこまれてやっと気づいた。
涙が出ていることに。
「コウくん…コウくんだぁ・・・。」
涙があふれて止まらない。
コウくんは優しく、何度も私の涙に手を伸ばす。