6年目の愛してる



「あっ・・・」




スーツを干そうとすればまた、香水のにおい。


いつものように消臭スプレーをかけた。


胸が痛むのは、気のせい。


視界が歪んでるのも・・気のせいだよ。




「気のせい、だよ・・・」



気のせいと自分に言い聞かせながら私は大きく目を見開く。


そこにたまるモノが零れないように。


私の気持ちが、溢れ出さないように。


初めてってわけじゃないじゃない。


こんなこと、今まで何度もあったことで。


その度にこの息苦しさと闘ってきたはずなのに。


なのに、なんで?


この苦しみに心はいつまでたっても慣れてくれないんだろう・・・。




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