6年目の愛してる



「竹下さんって元気で気さくな人だね。」




竹下さんが出て行った扉を見つめながら改めて思った。




「完璧に後輩気質だな。まあ、いい奴だよ。」




コウくんの顔を見上げると優しい表情をしてた。


私の大好きな表情。



優しい優しい目で全て包み込んでくれそうな微笑み方。



ごく一部の人の前でしかでない表情なんだ。



きっとコウくんは自覚してないんだろうな。





「ん?どした、紗絵。」




見つめすぎちゃったかも。


コウくんが不思議そうに私の目を覗きこむ。





「な、なんでもないよ。」


「そっか。」





コウくんはまた微笑んで私の頭を撫でた。


大きな手。


何度触れられてもドキドキ感がなくならない。


コウくんの手、好きだなぁ。
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