6年目の愛してる
「紗絵、本当にごめんな。」
竹下さんが帰ってから暫くたってコウくんが口を開いた。
「俺がしっかりしてればこんなに遠回りしなくてすんだよな。」
コウくんが切なさそうだ。
「そんなことないよ。私、必要なことだったんだって思うもん。きっとあんなことがなかったら今こうしてコウくんとラブラブだったか分からないから。」
コウくんの手を握る。
するとギュッて握り返してくれた。
ほらね。
付き合ってたときは手を握ってもこんなに強く優しくは握り返してはくれなかったよ。
新婚のときだって。
ちょっとぶっきらぼうに照れてるだけだったもん。
あのことがあってからコウくんの愛情は増したよ。
だからあんまり悲しまないでほしい。
私は幸せだから。