6年目の愛してる



「課長・・」



課長が俺のことをひょいっと持ち上げて立たせてくれた。



「すいません、こんな・・・みっともないことして・・」



変に注目を集めてしまっている俺を助けてくれた課長まで変な目で見られてしまっている。


お世話になっている上司にこんなこと、させてしまうなんて。


俺は、いったい何をしているんだ。




「ん。やっぱ、お前可愛いな?」




落ちていたカツラを俺に被せて、傷口についた汚れを掃ってくれる課長。





「なーに泣いてるんだ。俺から見りゃ、ここにいる誰よりもお前が一番可愛いぞ?ほら、これお前みたいじゃん?」




俺の涙を親指で拭ってから


課長が差し出してきた、一輪の花。


オレンジ色のユリの花。




「これ、どうしたんですか・・・?」


「ん?それはお前にだよ、竹下。泣く必要なんてない。俺はお前のセンスを認めてる。化粧だってそこらへんの女より上手いのを知ってるし、女よりも努力してることを知ってる。俺はお前が大好きだぞ」




課長が肩を抱き寄せてきた。



「か、課長?!」



一体何が起きているんだ?!







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