例えば、もしも…
サラッと答えた俺の答えに、キョトンとした顔の彼女。

もう一度言ってやった。



「損してる。」

「えー?意味わかんない。」


繰り返された俺の言葉に、怪訝そうに眉をしかめる彼女。


「お前に出会えなかった年数だけ、俺は損してる。」

「・・・・っ!」

「意味わかる?」

「っ////」


ビックリして目を真ん丸にした彼女に、少しニヤリと笑いながら尋ねたら、みるみる頬が染まっていった。

見事に耳まで真っ赤だ。


「百年しかねぇのに約17年もお前に出会えなかった。損したなぁ、俺。」

「…でも、例えばだから。」


急にしおらしくなった彼女が、向かい合っていた俺の左肩におでこを付けて俯いた。


「うん。いつまで続くか解んねぇ、人生だから今を大事に思えるな。百年よりもっと、一緒にいたいって。」

「うん。そうだよ、117年生きたら、出会えなかった17年がちゃらだよ!」


例えば、なのに…117年って。

今笑うと、君は怒るだろうから…やめとくよ。


顔をあげた彼女の、その自慢げな笑顔が可愛いから。
< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop