晴れ·ドキドキ·ズッキュン
1。晴れ・ドキドキ・ズッキュン
ようやく慣れてきたアタシのバイト先。
商店街のはざまの、小さな飲食店なんだけど。
裏通りから入って、閉店作業をしていた時のこと。
何だか視線を感じたの。
ジーッと、狙うような真っ直ぐな圧力……。
耐えられなくなって、振り向いたとたん……。
「バーン」と撃たれた。
左手の人差し指をアタシの胸めがけて、ピストルを撃つマネをした彼。
唇が「バーン」って、動いてた。
銃口はアタシに向けたまま。
アタシはとっさに、胸を押さえる。
そして、その場に倒れるフリをしてみた。
ほんのちょっぴり、おどけてみせたけど。
ほんのちょっぴり、恥ずかしくって。
……でも、「グッと」きた。
胸の奥まで届くような、穴が空いた。
──こんな感覚……初めてじゃない。
彼は仕事のできる人。
頭のキレる人。
年下なんだけど。
考え方や仕事に前向きな姿勢が、アタシの心を掴む。
尊敬できる、男の子だった。
──久しぶり。
こんな気持ち。
彼の顔を見て、微笑む私。
なんだか、高校生みたい。
赤くなっていないか……、心配で、心配で……。
だから、アタシを見ないでね。
お願いだから……。
本当に、倒れてしまうから……。
了
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