晴れ·ドキドキ·ズッキュン
4。コイゴコロ
「ねぇ、麻美ちゃん。頑張りすぎじゃない?」
ようやく見つかった新しいバイト先。初日から一生懸命働いていたある日、同じ年でバイト仲間の範子が、更衣室で声をかけてきた。
「そうかな」
「頑張りすぎだと思うよ」
「大丈夫。ありがとう」
服を着替え、トイレに行く。範子に言われたせいか、鏡で自分の顔を確認したくなった。
早速自分を写すと、目の下にクマが出来ていた。
「やだ、あたし……」
その時、トイレの前を通り過ぎる何人かの気配と、声が聞こえる。
「アノ娘、勘違いしてたわよ。心配されてると思ったみたい」
「アハハ。でも迷惑よねー。一人であんなに頑張られると」
「そうそう。ばっかみたい」
範子と、それにいつも一緒に帰る二人……。
「今日なんか、失敗して店長に助けて貰ってたしさ」
「もしかして、店長に下心でもあるんじゃない」
「ええー、わざと?」
「相手はもうオヤジだよ。アハハハハ」
麻美はトイレから出るのが怖くなった。声が完全に聞こえなくなっても、扉を開ける手が震える。
──意を決して、麻美は通路に出た。足早に出口に向かう。
ほっと胸を撫で下ろしていると、角を曲がったところで、段ボール箱を持った店長とすれ違った。
ようやく見つかった新しいバイト先。初日から一生懸命働いていたある日、同じ年でバイト仲間の範子が、更衣室で声をかけてきた。
「そうかな」
「頑張りすぎだと思うよ」
「大丈夫。ありがとう」
服を着替え、トイレに行く。範子に言われたせいか、鏡で自分の顔を確認したくなった。
早速自分を写すと、目の下にクマが出来ていた。
「やだ、あたし……」
その時、トイレの前を通り過ぎる何人かの気配と、声が聞こえる。
「アノ娘、勘違いしてたわよ。心配されてると思ったみたい」
「アハハ。でも迷惑よねー。一人であんなに頑張られると」
「そうそう。ばっかみたい」
範子と、それにいつも一緒に帰る二人……。
「今日なんか、失敗して店長に助けて貰ってたしさ」
「もしかして、店長に下心でもあるんじゃない」
「ええー、わざと?」
「相手はもうオヤジだよ。アハハハハ」
麻美はトイレから出るのが怖くなった。声が完全に聞こえなくなっても、扉を開ける手が震える。
──意を決して、麻美は通路に出た。足早に出口に向かう。
ほっと胸を撫で下ろしていると、角を曲がったところで、段ボール箱を持った店長とすれ違った。