春夏秋冬【短】



夕方に咲く花…。



「そのような花があるのですねぇ。朝顔の夕方版ですか?」



思ったことをそのまま伝えれば、旦那様は一瞬呆けたあと、咳を切ったかのように笑い出す


私、なにか変なこと言いましたか…?



滅多に見ない旦那様の表情に困惑していると、まだ笑いが止まない旦那様が答えをくれる



「それは夕顔でしょう?あれは夕化粧と言うんですよ。ふふ…っ、あ、朝顔の夕方版…!」



「そんなに笑わなくても…!!」


自分の間違いに、カーッと顔の温度があがったのを感じる


それを誤魔化すかのように、知らなかったんだからしょうがないでしょう!?と唇をとがらせた



旦那様はなおも喉を鳴らしていたけれど、ごめんごめんと言いながら何気なく、まるで当たり前かのように私の頭に手を置くとゆっくりと撫ぜた


「…!!!」



その突然の行動に、私の心臓はドクドクと激しさを増し、まるで全力疾走のあとのような息苦しさに見舞われる



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