春夏秋冬【短】




「…あれ?」


これは?


そう尋ねようと顔を上げれば



「えいっ。」


「!?」



楽しそうな顔をした旦那様がペチッと私の頬に触れた

サッサッと何度も頬を動く指



「あ、あの…?」


自分が今何をされているのか分からず、どうすることもできない


ただ、触れられていると思えば、旦那様にまで聞こえてしまっているのではないかと思うくらい、鼓動が激しくなった




しばらくすると、旦那様は手を退けられ、私を見つめると満足気に頷いた



「夕化粧の種を割るとね、白い粉がでるんですよ。

だから、白粉花(おしろいばな)とも言うのです。」


「お…しろいばな…?」



復唱すれば、爽やかに「はい。」と即答される



じゃあ、もしかして…



やっと旦那様の行動の意図が読めた。


そっと自ら頬に手を添えれば、予想通り、さらりとした感触



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