春夏秋冬【短】




すっかり日も暮れ、辺りは静寂に包まれる



月明かりに足元を照らしてもらいながら、私は旦那様の様子を見に、お部屋へと向かう



ちゃんと横になってくださっているだろうか?

いや、そんなわけありませんよね…。




期待せずに襖を開けば、案の定、敷かれたお布団に人影は無い

その相変わらずな光景に、私は小さく息を吐くと、旦那様の羽織を手に再び歩を進めた



足音を立てぬように向かう先はいつもの縁側



旦那様は体調が優れないというのに、毎晩お布団を抜け出しては縁側に座っているのだ




< 19 / 41 >

この作品をシェア

pagetop