春夏秋冬【短】




そして、月明かりに柔く包まれているそのお姿を見付ける


旦那様はただ空を見上げておられた



…まったく、人の気も知らずに…。



そっと近づきその肩に羽織を掛ければ、特に驚くことも無く、のんびり振り返り、そして微笑む



「やぁ、ののかさん。」



悪びれる素振りは一切無く、爽やかな笑みを向けてくる旦那様に、私はわざと大袈裟に溜め息を吐いた




「旦那様!大人しくしておかねばならないと言っているのに!」



「このくらい平気ですよ?」


旦那様は私の小言を気にもせず「ほら、今日は満月ですよ?」と天を指差す




その言葉に、空を見上げてみれば、確かに真ん丸なお月様が私達を見下ろしていた



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