春夏秋冬【短】




「本当に、姿が写せてしまいそうですねぇ。」


真澄鏡を見つめながら呟けばクスッと笑われる


「…なんですか?」


それが少し悔しくて、顔を上げたまま横目に旦那様を見やれば、旦那様も同じように私を見ていて、


目が合ったことが気恥ずかしくなり、私は誤魔化すように視線を反らした




「確かに姿も写ってしまいそうですが、真澄鏡は心を写す鏡なんですよ。
…ちょっと惜しかったですね。」



「…心を?」



「えぇ。まっさらな月を眺めていると、すべて見透かされたような気がしてきませんか?

真澄鏡は、本当の自分を写す鏡なのですよ。」


「…………。」



ただ、無心に月を眺める


何も無い、ただの浮かぶ月

何も無いからこそ考えが巡る、これが心を写すということなのだろうか。



見透かされてしまうのが怖くなり、私は顔を下げた




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