春夏秋冬【短】




そんな私とは違い、依然として真澄鏡を見つめている旦那様。



「…人は、空を見上げることを忘れがちです。

朝早く見上げれば、灰色の空に太陽と月の両方がある。

昼に見上げれば、作り物のような爽やかな空色に、曇りの無い真っ白な雲がある。


薄暗い雨雲や雪雲も、じっくり見てみれば案外綺麗ですし…、


夜になれば、金色の月が柔く輝く。


…まだまだ、数えきれないほどの表情を見せてくれるのに、それを知らないのは勿体無い。」




そう言うと、旦那様は私を見て微笑んだ


何も言えなかった


けれど、私は小さく頷いた


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