春夏秋冬【短】
「ののかさん…。」
真面目な声で私を呼ぶ旦那様
聞きたくないと私の心が悲鳴をあげる
返事はしない
けれど、旦那様は非情にも言葉を紡いでしまわれる
聞きたく、ない。
「僕が…居なくなった後は、好きに暮らしてください。
この家も、家具も、もう必要無いですし…ののかさんに、差し上げます。
好きにしてもらって、構わないよ。
生活の足しにしてもらえれば、僕も嬉しい。」
淡々と、そのような酷いことをおっしゃる
違う、違うんです、旦那様。
私が、ののかが欲しいのは、そんな言葉じゃないんです。
そう伝えてやりたいのに、涙が邪魔をする
あぁ、旦那様が困った顔をしている。
泣き止まなくちゃ。
泣き止まなくちゃ。
私は、何回も何回も、駄々を捏ねる子のように首を横にふった