春夏秋冬【短】






「…言葉には、力があります。
それが、言霊。

…だからこそ、ののかさんはそれを口にしてはならない…。

君は、僕に縛られては駄目なのです。」




熱で辛いはずなのに、旦那様はそう言って私の口を押さえていた手で頭を撫ぜる。



嬉しいはずの行動も、今は苦しい…切ない


旦那様との記憶が、いつの日か蜃気楼のように消え去ってしまうくらいならば、一生、縛り付けていてほしい。


そう思うのに、それほどの想いなのに、




私はもう、何も言えなかった






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