春夏秋冬【短】




手入れの行き届いた美しい庭に面した縁側の座椅子

旦那様はいつもそこに居る


難しそうな本を読んでいたり、ただ景色を眺めていたり


私がその横に座れば、旦那様はどこか儚く笑ってくださるのです。



お手伝いとしてこの御屋敷に来て早一年、分かったことが多々ある


旦那様は私が来るまでこの広い御屋敷にひとりきり


旦那様は有名な作家


そして、旦那様は御体が悪い


旦那様のかもしだす儚い雰囲気は、そこからきているのやもしれません。



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