春夏秋冬【短】




「ののかさん。」



そろそろ夕食をお出ししようと忙しなく(せわしなく)動き回っていると、突然、旦那様の声がした


私はパタパタと音を鳴らしていた足を止め、旦那様が居るであろういつもの場所へ向かう





「…どうかなされましたか?」


なにか粗相があっただろうか?

自分の今日の行動を振り返りながらゆっくり近付いていけば、旦那様が急かすように私を手招く



「おいでおいで。」


小さな子の相手をするかのようなその態度


その旦那様らしい温顔(おんがん)に誘われ、私は大人しく旦那様の横に座った



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