隣の先輩
第1章 出会い
まだ冬の名残を残す春の風が傍を抜けていく。私はそんな寒さをしのぐためにパステルカラーの青色のスプリングコートの裾を寄せた。
立ち止まっているわけにも行かず、目的地に急ごうとした。
その足もすぐに止まる。連なる家々の合間を縫い、タクシーの中から確かに見たはずの、記憶の中にあるお店の看板を姿を探していた。
だが、私の求める店は見当違いの場所にあるのか、綺麗に影になってしまっているのか視界に映らなかった。私は眉をひそめ、わずかに茶を帯びた髪の毛をかきあげる。
「弱ったな」
苦笑いを浮かべると、辺りを見渡すことにした。
私は母親に頼まれ、夕食の材料を買いに行くことになったのだ。気軽にその頼みを聞き入れたが、家を出て三十分が経過しても未だ、その目的地に到着することができないでいた。
家族から鈍いだの、とろいと言われることは頻繁にあったが、いくら私でも住み慣れた街で迷子になることはない。
立ち止まっているわけにも行かず、目的地に急ごうとした。
その足もすぐに止まる。連なる家々の合間を縫い、タクシーの中から確かに見たはずの、記憶の中にあるお店の看板を姿を探していた。
だが、私の求める店は見当違いの場所にあるのか、綺麗に影になってしまっているのか視界に映らなかった。私は眉をひそめ、わずかに茶を帯びた髪の毛をかきあげる。
「弱ったな」
苦笑いを浮かべると、辺りを見渡すことにした。
私は母親に頼まれ、夕食の材料を買いに行くことになったのだ。気軽にその頼みを聞き入れたが、家を出て三十分が経過しても未だ、その目的地に到着することができないでいた。
家族から鈍いだの、とろいと言われることは頻繁にあったが、いくら私でも住み慣れた街で迷子になることはない。
< 1 / 671 >