隣の先輩
 でも、ここに引っ越してきてからはそうかもしれない。


 私はそう思うと、先輩を少しだけ見た。


 そして、再び空を見る。
 空がそんな色になるのは夜が更ける前のほんの一時。

 その空をただ眺めていたときだった。


「この前、男と一緒に歩いていただろう? あれ、誰?」


 私の耳にそんな言葉が届く。


 先輩を見たけど、目を合わせようとしなかった。


「誰のことですか?」


 裕樹のことを言っているわけもないだろうし、依田先輩ならそんなことを言うわけない。


 でも、どこか怒っているみたいに見える。



「お前の弟にあった日だよ。同じ学校の奴」

< 178 / 671 >

この作品をシェア

pagetop