隣の先輩
 そのとき目に入ったのがベランダの奥にある電気がつきっぱなしの部屋。



 ここは先輩の部屋なんだろうか。


 見てはいけないと思いつつ、視線が向かってしまいそうになるのをとどめていた。


 でも、やっぱり気になる気持ちが強かったのか、その場所に引き寄せられるみたいに、視線を向けてしまっていた。

「どうかした?」


 少し不思議そうな声。
 その言葉で我に返っていた。


 でも、先輩の部屋が気になって覗こうとしていたなんて言えるわけもない。


「一人でお留守番って大変じゃないですか?」


 苦し紛れにそんな言葉を伝えていた。


「言ったっけ?」
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