隣の先輩
「和葉さんから聞きました。ごはんとか平気かなって」
その言葉に先輩は目を細めていた。
「一応、母さんが作っていたし、俺も少しくらいならできるから」
「先輩って料理できるの?」
少し意外な気がした。不器用そうに見えるわけではなく、あまりそういうことをしているイメージがなかったからだ。
「普通にはできるんじゃないかな。得意とは言えないけど」
先輩って何でもできるんだ。一方の私はできるとは言えないレベルだった。
「お前はできなさそうだよな」
「もしかして裕樹に聞いたんですか?」
思わず、そう反応していた。先輩の顔を見て、しまったと思う。