隣の先輩

「和葉さんから聞きました。ごはんとか平気かなって」


 その言葉に先輩は目を細めていた。


「一応、母さんが作っていたし、俺も少しくらいならできるから」

「先輩って料理できるの?」


 少し意外な気がした。不器用そうに見えるわけではなく、あまりそういうことをしているイメージがなかったからだ。


「普通にはできるんじゃないかな。得意とは言えないけど」


 先輩って何でもできるんだ。一方の私はできるとは言えないレベルだった。


「お前はできなさそうだよな」


「もしかして裕樹に聞いたんですか?」


 思わず、そう反応していた。先輩の顔を見て、しまったと思う。
< 182 / 671 >

この作品をシェア

pagetop